前回、私が小さな頃、本家のある福島県の大玉村に行くと「妖怪」が出そうとの失礼な投稿をしましたが、実は私自身本当の「妖怪」を見たことがあるんですよ。私には2つ年下の弟がいるのですが、その弟と2人で見ているので本当なんです!
私たち兄弟がまだ小学校低学年の頃の話です。私たちは、日立市の久慈浜という昔ながらの港町の、奥の高台に出来た新興団地(金井戸団地)に住んでいました。いつも私たち兄弟は、母親からお小遣い50円をもらい(以前は20円でしたが弟と泣いて騒いであげてもらったのを覚えています(‘_’))、駄菓子屋でお菓子などを買う至福楽しみを求めていました。昔は至る所に小さな駄菓子屋があり、自宅近くにも駄菓子屋があったのですが、とても売っている駄菓子が少なく、時々久慈浜の町にある駄菓子屋に至福の楽しみを求めて行っていました。しかし、その至福の楽しみを得るためには、私たちが住んでいる高台から下の町まで下りて行かなければならず、徒歩しか交通手段がない私たちにとって、とても長い旅路を行かなければなりませんでした。またその道中には、高台から町まで下りるための坂道があり、その坂道は人しか通ることができず、周りには家もなく、木々が生い茂っているため日中でも薄暗く、私たち兄弟にとってとても怖く難所の坂道でした。
ある日、久慈浜の駄菓子屋での至福の楽しみの帰りに、その坂道を歩いていた時です。”突然”弟が「お兄ちゃん坂道の右側にそれた場所に崖があるから登ってみようよ!」と言い出したんです(今の時代では考えられませんが私たちの小さな頃は多少危険があってもお構いなく遊んでいた時代です!)。そして、その言葉に私自身何のためらいもなく「そうしよう!」と言って向かったのを覚えています。少し大人になって考えると、その怖い坂道で訳の分からない崖を登ろうと思ったのが第一の不思議ですよね。
そこには竹やぶに囲まれた2~3mくらいの崖があったのですが、また”突然”弟が「僕が先に登る!」と言って登っていたんです。そして、その上まで行った頃です! ”突然”弟が「ワ~~」と絶叫しながらその崖から転げ落ち、私を置いて猛ダッシュで走り去ってしまいました。取り残された私は「どうした!どうした!」と言いながら呆然と立ち尽くしたのを覚えています。
そこで帰ればよかったのですが、何があったのか知りたい思いで、私も追いかけるようにその崖を登ってしまったんです。その崖は土岩で出来ており、思ったより急だったのですが、必死に崖の上まで登りきりました。その達成感でふと目線を前に向けると、なんと信じられないものが私を待っていたんです! 皆さん何がいたと思います。実は目線の先には「骸骨に近いとても大きな人顔」がいたんですよ!! 本当にびっくりです!!! 私も崖から転げ落ち猛ダッシュで逃げたのですが、その後団地に逃げ込んだ弟と落ち合い、私達兄弟は全く無言のまま家に帰りつきました。家で待っていた母親にあった出来事を必死に説明したのですが、全く聞き入れてくれなかったことを覚えています。その後も私たち兄弟は至福の楽しみには勝てず、小学生まで町の駄菓子屋に行っていたのですが、この坂道を通るときは二人でわき見も降らず走り去っていたのは言うまでもありません。
その後、町の駄菓子屋に行かなくなったことを切っ掛けに、この坂道を通ることが無くなっていきました。その後のある日のことです、私は学校の図書館で「水木しげる妖怪図鑑」という本を見つけてしまいました(水木しげるさんは私が尊敬する方の一人です)。そしてその中に、私たち兄弟が見た骸骨に近い大きな顔の妖怪が図鑑に載っていたんですよ。とてもびっくりして、弟と検証した結果、間違いないと結論付けしました。いまだに私たち兄弟が鮮明に覚えているあの”大きな人顔”は、本当に「妖怪」だったのだと心から思っています。
後日談があります。少し長くなりましたが今しばらくお付き合いください (^^)
その後思い出すたびに、「妖怪」を見たことを子供たちや知人たち等に話すのですが、皆あの時の母親のように「見間違いじゃないの」とか「なに言っているの」など半分面白話のように聞かれているのが分かり、今では少し私のネタ話になってしまっています。
その時住んでいた自宅は、25年ほど前に父親の定年退職を切っ掛けに引っ越したのですが、それ以来その団地に行くことはありませんでした。しかし、数か月前にその団地近くまで行く用事があり、その帰りに私が生まれ育った懐かしい団地へ、家族みんなで行くことにしました。以前の自宅は別の方が新しく建て替えられ、周りの環境も少しの面影を感じられるのですが、全く別の世界となっているのに驚かされました。そしてその時、ふっと「あの場所はどうなっているのだろう?」と”突然”思い出してしまいました。突然は危険ですよね! しかし、”突然”思い出してしまっては行くしかありません。行かずにはいられません! あの出来事から45年ほどの長い時間が過ぎていきましたが、私の中では色あせることなく、大きなトラウマとして今でも大きく残っていました。ですが今回は、幼少の弟ではなく、私の家族皆がついています!一丸で立ち向かう覚悟でその坂道に突撃覚悟で行ってみました。
その坂道の入り口付近にたどり着いたのですが、以前のような暗く寂しい雰囲気は感じられず、少し下ると数件の家も建っており、ずいぶん違う場所となっていました。ある意味今までこの場所にこれなかった達成感の思いを感じながら、恐る恐る家族を引き連れトラウマの崖に行ってみたんです。そしてふと目線を前に向けると、なんと信じられないものが私を待っていたんですよ! 皆さん何があったと思います。実は目線の先には「市民の愛する自然公園」に変わっていたんです!! 本当にびっくりです!!! 崖から転げ落ち猛ダッシュで逃げた場所がです。崖の面影が残っており、子供たちとその場所を必死の思いで見渡しても当然「妖怪」はおりませんでした。当たり前ですよね。後から調べたのですが、10数年前に地域市民の方々が何年もかけて、この荒れた地を整備され、今では渡り鳥や草花が咲き誇る自然豊かな憩いの公園に変えたことを知りました。
「妖怪」は人に危害を加えることなく、ただ驚かすことを楽しんでいたといいます。私達兄弟も崖から転げ落ちましたが怪我一つすることがありませんでした。なんか洒落ていますよね。今の私はもう一度あの「妖怪」に合いたい思いがありまが、何の面白みのない叔父さんの前にはもう二度と現れることは無いと思います。私の人生の中で、このような不思議なできごとは本当に貴重な体験であり、私達兄弟で遊んでいただいた「妖怪」に今は心から感謝するばかりです。
本当に長いくだらない話でしたが、あの時の「妖怪」がどこかで幸せに暮らしていることを心から願うばかりです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。下に公園の写真を張りますので、皆さん機会がありましたら行ってみてくださいね (^_^)
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