2026年1月1日にキャスターの久米宏さんがご逝去されました。
久米宏さんは、1985年から「ニュースステーション」という番組を、同じ時期に筑紫哲也さんは「NEWS23」という番組のキャスターをされていました。御二人は18年間という長い年月、ほぼ毎日報道に携わっておられました。そして、この2つの報道番組は、それまでの専門的な報道を、誰にでも分かり易く、政治や世界情勢等を身近な物としてくれました。
筑紫哲也さんは、「政治はパイの奪い合い」と言われました。ちょっと乱暴な言葉に聞こえるかもしれませんが、日本の限られた予算は、世代間の分配であり、曖昧では国が衰退するとの意味でした。この言葉は、今から17年前にお亡くなりになる頃に言われた言葉で、とても強烈な言葉として今でも心に残っています。今までの日本の政治は、どちらかというと高齢者中心であり、福祉の世界にいる私が感じるのは、世代間だけでなく、障害者やマイノリティも強く主張しているのを強く感じます。その現実は、若い世代だけが一人負けのようだとも言えます。筑紫哲也さんが言われたパイの原理が働いているとも言えますが、世界や日本は、その事が原因で分断社会に繋がっているともいえます。この現実に対して、筑紫さんの言葉で説明してもらえないのがとても残念です。
久米宏さんは、先日ご逝去された追悼番組でも放送されていましたが、ニュースステーションの最後に「今まで想像もできない程の激しい攻撃や批判がありました。皮肉でも批判でもありません、本当にありがとうございました。感謝しております。」と発言され、自分自身へのご褒美として自分だけでビールを飲まれました。改めて涙が出るくらい格好良かったです! テレビの報道番組中に勝手にビールを飲むことは、本来問題となる行為と言えます。しかし、久米さんとしては、この番組をやり遂げた自分へのご褒美として、この勝手なワガママを少しだけ許してもらいたいとの思いだったのだと思います。
ニュースステーションとNEWS23は1時間ズレての放送で、二十代の私は、毎日お酒を飲み、少し酔ながら、時には殆ど記憶がない中で、この2つの報道番組を普通に観ていました。今考えれば、その頃の私には物事の考え方がなく、根無し草のような生き方だったのだと思います。本来であれば両親等から少しづつ学んでいくのだと思いますが、その頃の時代は戦後から復興し、高度成長へと進んだ時代です。両親も含め、皆その流れにのり、前のみを観ていた時代でした。今までの投稿でも何度も言っていますが、私自身その時代の空気感に、いつも息苦しさを感じながら生活していたのを強く覚えています。
今考えれば、筑紫哲也さんも久米宏さんもそれぞれの報道番組に『命を掛けていた』と言えます。そして、筑紫さん、久米さんは、息苦しく様々なことが渦巻いている時代の中を、本気で向き合っていたのだと感じます。今の世の中は、「批判」に対してとても過剰に対応しなければならない時代となっています。その空気感は、私だけでなく、多くの方がいつも息苦しさを感じながら生活しているのではないでしょうか。
筑紫さん、久米さん共に肺がんで亡くなりました。筑紫さんは、享年73歳で、ご自身の死に対してとても無念だったと思います。一方で久米さんは享年81歳で、現在の焦燥感漂う日本に対して、一言二言言いたいことが有ったと思いますが、特に公には発言はされませんでした。まるで、「皆さん毎日色々大変だけどがんばってくださいね」と軽く言われてお亡くなりになられたように感じます。
今考えれば、ニュースステーションとNEWS23は、私にとっての「教室」であり、筑紫哲也さんと久米宏さんは私にとっての「先生」だったのだと思います。その教えを少しでも自分の身にするためにも、筑紫さん、久米さんよりも長く生き、時代や人に対して本気で向き合った人生にすることができれば幸せです。
筑紫哲也さん、久米宏さん 本当にありがとうございました。感謝しております。心から御冥福をお祈り申し上げます。


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